【 10分でわかる】コロナ禍で見直される非正規雇用

新型コロナウイルスが全国で猛威をふるい、福岡県でも緊急事態宣言が出されました。
また、福岡県の繁華街にも人影はなく、閑散とした街風景となりました。

このような状況で福岡県の企業も大きなダメージを受け、今後の被害の拡大も未知数です。

また、従業員レベルでも大きな影響が生じています(特に、非正規雇用の方の債務整理の相談が増加した印象を受けます)。

このような社会情勢で、特に、非正規雇用の方は、現在とても不安に感じている方も多いと思います。
これまでも、世間においては非正規雇用は不安定な地位だと認識されており、確かに、日本の景気や企業の業績によって、非正規雇用の地位は左右されることが多いのも実情です。

そこで、改めて非正規雇用について企業経営者も理解を深めるきっかけになればと、今回は非正規雇用について説明いたします。

はじめに、従業員の雇用形態は大きく分けて、正規雇用と非正規雇用に分類できます。

非正規雇用とは、一般には、アルバイト、パート、契約社員、派遣社員、限定社員などと呼ばれています。

 

【解雇について】

普通解雇・懲戒解雇・整理解雇があることは、非正規雇用でも正規雇用と変わりません。
もっとも、正規雇用と非正規雇用は、法的に以下の点で大きく異なります。

そもそも、非正規雇用は会社における必要人員の増減に対応するため活用されることが多く、そのため、法的にも非正規雇用の場合には雇用期間等を柔軟に定めることができます。また、非正規雇用の場合には、正規雇用よりも解雇の有効性が認められやすい傾向にあります。

さらに、非正規雇用については、労働契約で定めた期間が経過すれば、期間終了を理由として企業からの退職を求められることがあります。

つまり、労働者を会社が追い出したい場合に,会社が行うのは,解雇ではなく労働契約の更新の拒否となるのです。この労働契約更新の拒否は「雇い止め」と呼ばれています。

もっとも、雇い止めについても、期間雇用の契約が複数回更新されていることなどを条件として通常の解雇と類似した取扱い、すなわち、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には、雇い止めは無効となります。

【同一労働同一賃金の原則について】

同一労働同一賃金とは、同じ仕事内容に対しては、同一の賃金が支払わなければならないという原理原則をいいます。すなわち、
“同じ仕事をしているのであれば、契約社員であろうが、パート・アルバイトであろうが、派遣社員であろうが、正社員と同じ給料を与えなさい”
というものです。

この同一労働同一賃金の原則に関して、 令和2年4月1日、非正規労働者の格差是 正のため、重要な法改正がありました。

以下で、改正のポイント(3つ)を簡単にご説明します。

〜不合理な賃金格差の禁止〜

事業主は、契約社員やパートなどの非正規労働者と正規労働者で「基本給、賞与その他の待遇のそれぞれ」について、不合理な相違を設けてはならないとされました。そして、不合理かどうかの判断 にあたっては、「どうしてその給付が支払われているのか(支払われていないのか)」「給 付の目的を 踏まえて、どのようにして額が決定されている
のか」といった事情を考慮することが明確にされました。

したがって、正規労働者と非正規労働者の賃金の決定に、より合理的・慎重 な判断 が求められるようになりました。

〜説明義務の拡張〜

上記に 関し講ず ることとしている措置 の内容を、雇入時 に説明しなければならないとされました。
たとえば、定期的に賃金体系 を見直すべく、 短時 間労働者や有期雇用労働者の意見を 聞く機会を設けている等を説明することが考えられます。

また、事業主は、労働者から説明を求められた場合、相違の中身(どの程度の格差が存在しているのか)、及びその理由を説明しなければならないという義務が新設されました。

〜派遣労働者に関する法改正〜

派遣労働者の同一労働同一賃金を実現するため、派遣先企業の 義務(情報提供義務)、及び、派遣元企業の義務(不合理な待遇等の禁止)が創設されました。

これにより、派遣労働者を雇用する場合にも、これらの改正法に留意 することが求められます。

欧州諸 国においては、非正規雇用の割合が 高く、正規雇用と非正規雇用との格差 ができないよう数々の立法によって非正規労働者の地位が守られています。今回の改正からもわかるとおり、日本においても、今後は、このような欧州 型の雇用環境に近づくと思われます。

企業においても、どのような組織を作るかを 再度検討し、必要な見直しをするべきでしょう。